本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の投資活動において、戦略的価値と財務的リターンのバランスは重要な課題です。JAPAN CVC SURVEY 2023から、日本のCVCの投資リターンに対する最新の取り組みが明らかになりました。
およそ30%のCVCが計画通りもしくは計画を上回る戦略リターンを得ている一方で、40%のCVCの戦略リターンは計画を下回っています。特に戦略CVCにおいて、計画を下回ると答えた企業が50%であり、戦略目的のCVCがなかなか想定したようなリターンを獲得できていない様子がわかります。他方、財務リターンについては、計画を下回ると答えた企業は20%以下で、45%の企業が計画通りもしくは計画を上回るリターンを得たとしています。
■組織タイプ別の傾向
【1. 戦略CVC】
・戦略的価値を重視
・事業シナジーの追求が主目的
・財務リターンは副次的
・事業部門との連携を重視
【2. 財務CVC】
・財務リターンを重視
・投資判断の独立性が高い
・VCライクな投資スタイル
・ポートフォリオ管理を重視
【3. ハイブリッドCVC】
・戦略と財務のバランスを追求
・案件特性に応じた柔軟な判断
・総合的な価値創造を目指す
・多様な投資機会の追求
■戦略リターンの評価要素
1. 事業シナジー
・既存事業との相乗効果
・新規事業開発への貢献
・技術獲得の機会
・市場参入の加速
2. イノベーション創出
・新技術の取り込み
・事業モデルの革新
・組織文化の変革
・人材育成効果
3. エコシステム構築
・スタートアップとの関係構築
・業界動向の把握
・新規事業機会の発掘
・パートナーシップの形成
■まとめ
現在割合としてはハイブリッドCVCの増加しており、これらの組織は、戦略的価値と財務的リターンのバランスを取りながら、より総合的な価値創造を目指しています。この傾向は、CVCの投資活動が成熟化し、より洗練された投資アプローチが求められていることを示唆しています。
今後は、戦略的価値の定量化や、財務リターンとの適切なバランス設定が、さらに重要になってくると予想されます。CVCには、自社の特性と目的に合わせた、最適な投資リターンの枠組みを構築することが求められているといえるでしょう。
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