本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
近年、多くの企業がコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)活動を開始していますが、その背景には様々な戦略的意図が存在します。最新の調査によると、企業がCVCを始める最も大きな理由は、「戦略的に既存事業の強化や新規事業開拓を推進するため」というものでした。全体の75%の企業がこの理由を挙げており、イノベーション創出への強い期待が伺えます。
次に多かった理由は「社内での事業開発に限界を感じたため」で、約半数の企業が指摘しています。従来の社内R&Dだけでは急速な技術革新や市場変化に対応できないという課題認識が、CVCへの取り組みを促進していると考えられます。
興味深いことに、「M&Aにつながる活動として有効であると考えたため」という理由も約20%の企業が挙げています。これは、CVCをM&A戦略の一環として位置づけ、将来の買収や事業提携の可能性を見据えた投資を行っているということを示しています。
また、「スタートアップへの投資自体を一つの事業として立ち上げるため」という回答も約18%あり、投資活動自体を新規事業として捉える企業も少なくありません。さらに、「スタートアップとの協業が進展し出資を行うことになったため」(13%)という回答からは、協業を通じて自然発生的にCVC活動が始まるケースも存在することが分かります。
特筆すべきは、「同業界や規模の近い企業がCVC活動に取り組みはじめたため」という競合対応的な理由は10%程度に留まっており、多くの企業が自社の戦略的必要性から主体的にCVC活動を開始していることです。
CVCの開始理由は、主に既存事業の強化や新規事業開拓といった戦略的な目的が中心となっています。社内での事業開発の限界を感じた企業が、外部のイノベーション活用を目指してCVCを立ち上げるケースが多く見られます。また、M&A戦略の一環としての位置づけや、投資自体を事業化する意図など、企業によって様々なアプローチが存在することが分かります。重要なのは、競合追随ではなく、自社の戦略的意図に基づいてCVC活動を開始するケースが大多数を占めているという点です。
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