CVCのリード投資可能性

2024
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JAPAN CVC SURVEY
本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の投資活動が活発化する中、リード投資家としての役割に注目が集まっています。JAPAN CVC SURVEY 2023の調査結果から、日本のCVCのリード投資に関する現状と課題が明らかになりました。

リード投資可能性
回答企業の投資件数

■投資実績とリード投資の関係性

【リード投資実績の推移】
・2023年の投資実施件数:61件(前年28件から大幅増加)
・ファイナンス実施件数:16件(2018年)→61件(2023年)と約4倍に
・投資活動の活発化と経験値の蓄積が進む

【リード投資への姿勢】
調査によると、CVCのリード投資可能性について:
・66%が「リード投資の経験があるか、または意向がある」
・残り34%が「他社のフォロワーとしての投資を志向」

■組織タイプ別の特徴

1. 財務CVC
・リード投資に最も積極的
・投資判断の自由度が高い
・VCライクな投資スタイルを志向

2. 戦略CVC
・フォロワーとしての投資が主流
・事業シナジーを重視
・慎重な投資姿勢

3. ハイブリッドCVC
・バランスの取れたアプローチ
・案件特性に応じて柔軟に対応

■リード投資可能性を高める要因

1. 投資経験の蓄積
・投資実績の増加
・投資プロセスの確立
・リスク管理能力の向上

2. 組織体制の整備
・専門人材の確保
・意思決定プロセスの効率化
・投資権限の明確化

3. 投資規模の拡大
・投資予算の増額
・1件あたりの投資可能額の増加
・ポートフォリオ分散の実現

■今後の展望と課題

【期待される変化】
・投資実績の蓄積に伴うリード投資の増加
・CVCの市場プレゼンス向上
・スタートアップエコシステムにおける影響力強化

【克服すべき課題】
・投資判断の迅速化
・デューデリジェンス能力の強化
・投資後の価値提供体制の整備

■まとめ

日本のCVCは、投資実績の急速な積み上げとともに、リード投資家としての存在感を着実に高めています。66%という高い比率でリード投資への意欲を示していることは、CVCの投資活動の成熟度が増していることを示唆しています。

特に財務CVCを中心とした積極的な姿勢は、日本のスタートアップエコシステムにとって重要な変化といえます。今後は、投資経験の更なる蓄積と組織体制の強化により、CVCによるリード投資が一層増加することが期待されます。これにより、スタートアップへの資金供給の多様化と、イノベーション創出の促進が期待されます。

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