JAPAN CVC SUMMIT 2024:JAPAN CVC SUEVEY 2024を振り返って<セッションレポート>

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イベントレポート

JAPAN CVC SUMMIT 2024のファーストセッションとして、一橋大学イノベーション研究センターの青島矢一教授が登壇し、国内のCVC活動に関する包括的な調査「JAPAN CVC Survey 2023」の結果を発表しました。

様々な観点で切り出したデータを元に下記ゲストを交えてCVCの課題や現在地について議論を行いました。

・三菱地所株式会社 橋本雄太氏
・TOPPANホールディングス株式会社 内田多氏
・株式会社MOL PLUS 阪本拓也氏
・日揮株式会社 坂本惇氏、
・Monoful Venture Partners 林口哲也氏

増加するCVC投資

「JAPAN CVC Survey」は、FIRST CVC株式会社と一橋大学イノベーション研究センターが共同で実施する、日本最大規模のCVC調査だ。2023年度は127社が調査に回答し、売上分布やファンド予算、業種の多様性が特徴的である。青島教授は、「バランスの取れたサーベイができた」と評価している。

調査対象企業の2023年の投資件数は合計616件で、2018年から2022年にかけての件数を踏まえると、CVC投資は増加傾向にあることがわかる。投資目的としては、戦略リターンと財務リターンを同時に狙う「ハイブリッド型」が最も多く、今後も投資を計画通り行う、または増加させるとの回答が8割以上を占めた。

青島教授は、投資年数や件数、リターン、組織的支援体制など6つの基準で上位20%の企業を「リーディングCVC」とし、他の「一般CVC」や「ビギナーCVC」と比較することで、成功するCVCの特徴を分析する予定だと述べた。

事業部との連携は「地道な取り組み」がカギ

最初のテーマは「事業部との連携」だった。青島教授は、社内コミュニケーションの取り組みについてのグラフを提示し、リーディングCVCが一般CVCに比べて地道な取り組みに力を入れていることが示された。橋本氏は、三菱地所が2016年からスタートアップ投資を始め、2022年3月に本格的なCVC活動を開始したことを紹介。同社は短期的な事業シナジーを求めず、将来的な協業を視野に入れた投資を行っていると述べた。

阪本氏は、MOL PLUSが社内外のイベントに注力し、事業部と繰り返しコミュニケーションを取り続ける「継続性」の重要性を強調した。

社員出向やJV設立で投資先の成長を支援

次のテーマは「スタートアップの支援」だった。内田氏は、TOPPANが投資契約と業務提携契約を同時に結び、信頼関係の構築に努めていると語った。

林口氏は、売上への貢献が重要だと述べ、ジョイントベンチャーによる事業立ち上げがスタートアップの成長を支援する一つの方法であると述べた。

経営陣のコミットメントと非公式なコミュニケーション

3つ目のテーマは「マネジメント層のコミットメント」だった。青島教授は、リーディングCVCが経営陣との非公式なコミュニケーションを重視していることを指摘し、登壇者たちにそのポイントを尋ねた。

坂本氏は、日常的な雑談の中でも投資活動を話題にすることの重要性を述べ、阪本氏は定期的な報告よりも不定期の報告の方が効果的だと語った。

CVCの強みを生かした組織作り

最後のテーマは「ソーシングとスタートアップの評価」だった。青島教授は、リーディングCVCが外部出身者の採用を積極的に行いながら、内部出身者が代表を務める傾向があると述べた。

内田氏は、LP投資を通じてファンドからノウハウを学ぶことを勧め、坂本氏はCVCの技術的な目利き力を生かすべきだと主張した。林口氏は、再現性のある組織作りが重要だと述べ、CVCにとっては組織体制の設計が不可欠であると締めくくった。

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