本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
近年、コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の活動が活発化する中、投資判断のスピードが重要な競争力の源泉となっています。JAPAN CVC SURVEY 2023の調査結果によると、日本のCVCの意思決定リードタイムには、組織タイプによって顕著な違いが見られることが明らかになりました。
調査によると、全体の約7割のCVCが3ヶ月以内で投資判断を完了させています。特に注目すべきは、戦略CVCと財務CVCで見られる意思決定スピードの違いです。
財務CVCの場合:
- 約80%が3ヶ月以内に判断
- 1-2ヶ月での判断が最も多い
- スピーディーな意思決定が特徴
戦略CVCの場合:
- 約60%が3ヶ月以内に判断
- より慎重な判断プロセス
- 社内調整に時間を要する傾向
CVCが投資判断の迅速化を目指す背景には、以下の要因があります:
- スタートアップの資金調達サイクルの短期化
- 競合する投資家との案件獲得競争
- スタートアップ側の期待値に応える必要性
一般的なVCと比較すると、特に以下の点が課題として挙げられます:
1. 社内承認プロセスの複雑さ
2. 事業部門との調整時間
3. デューデリジェンスの実施期間
これらの課題に対して、先進的なCVCでは:
- 投資委員会の定例開催
- 事前協議プロセスの効率化
- 明確な投資基準の設定
などの施策を実施しています。
日本のCVCは、投資判断の迅速化に着実な進展を見せており、7割が3ヶ月以内での意思決定を実現しています。特に財務CVCは、独立性の高い判断と効率的なプロセスにより、より短期間での意思決定を実現しています。
一方で、戦略CVCは事業シナジーの追求と社内調整の必要性から、比較的長い意思決定期間を要する傾向にあります。今後は、デジタル技術の活用や意思決定プロセスの最適化を通じて、さらなる効率化が期待されます。
スタートアップのスピード感に対応しつつ、適切なリスク管理を行うバランスの取れた意思決定プロセスの構築が、CVCの競争力を左右する重要な要素となっていくでしょう。
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