CVCの出資比率

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JAPAN CVC SURVEY
本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧

コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)の投資戦略において、出資比率の設定は重要な検討事項です。JAPAN CVC SURVEY 2023から、日本のCVCの出資比率に関する最新の傾向が明らかになりました。

株式出資比率目標値

出資比率の現状

【全体傾向】
・1-3%以下:38%
・3-5%以下:30%
・1%以下:22%
・5-10%:10%

大多数のCVCが5%以下の出資比率を目標としており、特に1-3%の比率を目指すCVCが最も多いことが特徴的です。

出資比率設定の背景要因

1. マイノリティ出資の重視
・スタートアップの自主性確保
・創業者の経営モチベーション維持
・機動的な意思決定の担保

2. リスク管理の観点
・投資リスクの分散
・ポートフォリオ管理の効率化
・財務的影響の適切なコントロール

3. 協業関係の構築
・対等なパートナーシップの形成
・スタートアップとの良好な関係維持
・柔軟な協業体制の構築

出資比率別の特徴

【1-3%以下(38%)】
・最も一般的な出資比率
・バランスの取れた関係構築
・他の投資家との協調が容易

【3-5%以下(30%)】
・やや強めの関与を志向
・戦略的な発言権の確保
・より密接な協業関係の構築

【1%以下(22%)】
・純投資的なアプローチ
・幅広い投資機会の確保
・情報収集重視の戦略

【5%以上(10%)】
・強い関与を志向
・戦略的重要性の高い案件
・密接な事業連携を目指す

まとめ

日本のCVCの出資比率戦略は、スタートアップの自主性を尊重しながら、適切な関係性を構築することを重視する傾向が明確になっています。全体の90%が5%以下の出資比率を目標とし、特に1-3%の範囲を目指すCVCが最も多いという結果は、この方針を如実に表しています。

このような抑制的な出資比率の設定は、スタートアップとの健全なパートナーシップ構築と、リスク管理の両立を図る現実的なアプローチといえます。今後も、スタートアップのダイナミズムを活かしつつ、効果的な協業関係を構築できる出資比率の模索が続くと予想されます。

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