本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
JAPAN CVC SURVEY 2023の調査結果から、日本のCVCが直面している戦略面での課題が明らかになりました。特に注目すべきは、KPIの具体化や事業部との連携など、組織的な課題が上位を占めている点です。
1. KPI設定の難しさ
調査によると、最も多く挙げられた課題は「CVC活動のKPIが具体化できておらず合意形成や活動の評価がしにくい」(36%)でした。これは、投資活動の成果測定の難しさを反映しています。
2. 事業部との関係性
「事業部からの協力を得にくいまたは干渉が入る」(34%)という課題も上位に挙がっています。これは、CVCと事業部門との間で目的や期待値にギャップが存在することを示唆しています。
3. 意思決定プロセス
「CVC組織の意思決定権限が小さく調整に時間がかかる」(27%)という回答も目立ちます。スタートアップの投資では迅速な判断が求められる中、この課題は深刻な影響を及ぼす可能性があります。
4. 目的・目標設定の課題
「CVC活動の目的や達成目標が経営レベルで合意されていない」(26%)という課題も無視できません。これは組織全体としての方向性の不明確さを示しています。
5. 投資戦略の一貫性
「投資領域やテーマが曖昧で活動に一貫性がない」(22%)という課題も指摘されています。明確な投資戦略の欠如は、長期的な成果創出の障害となる可能性があります。
6. 経営層の理解
「CVC活動に対する経営層の関心や優先度が低い」(22%)という課題も存在し、これは活動の持続可能性に影響を与える可能性があります。
日本のCVCが直面する戦略的課題の多くは、組織的な要因に起因していることが明らかになりました。特に、KPIの設定や評価方法の確立、事業部との連携強化、意思決定プロセスの効率化が重要な課題として浮かび上がっています。
これらの課題を解決するためには、以下の取り組みが重要となるでしょう:
- 明確なKPIの設定と評価基準の確立
- 事業部との密接な連携体制の構築
- 迅速な意思決定を可能にする権限委譲
- 経営層を含めた組織全体での目的・目標の共有
- 一貫性のある投資戦略の策定
今後、これらの課題に効果的に対応できるCVCが、持続的な成果を上げていくことができると考えられます。
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