本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
FIRST CVC株式会社が実施した「JAPAN CVC SURVEY 2023」の調査によると、日本企業のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が重視する戦略的リターンの内容が、従来の考え方から大きく進化していることが明らかになりました。
調査結果によれば、CVCの戦略的リターンへの期待は、単純な事業シナジーを超えて、より包括的な価値創造へと発展しています。特に注目すべきは、「既存事業との異なる領域での新規事業開発」や「本体事業の変革」といった、より広範な戦略的価値を重視する傾向が強まっていることです。
パフォーマンスの高い「リーディングCVC」の特徴として、以下の点が浮かび上がっています:
1. 戦略リターンと財務リターンの両立
- 財務的な収益性を維持しながら、戦略的な価値も追求
- 投資判断における明確な基準の確立
2. 本体事業との関係性
- 既存事業との過度な結びつきを避ける傾向
- 独立性を保ちながら、必要に応じて本体事業とのシナジーを追求
3. 新規事業創出への姿勢
- イノベーションの探索を重視
- 既存事業の枠にとらわれない投資領域の開拓
調査では、CVCが重視する戦略的価値として、以下のような項目が挙げられています:
- 新技術・新サービスの探索と獲得
- 既存事業のデジタルトランスフォーメーション促進
- 新規マーケットへの参入機会の創出
- イノベーションエコシステムへの参画
- 組織文化の変革
一方で、戦略リターンを追求する上での課題も明らかになっています:
- 投資判断の基準設定の難しさ
- 本体事業部門との利害調整
- 長期的な価値評価の方法
- 戦略的シナジーの具体的な実現方法
CVCにおける戦略リターンの考え方は、単なる事業シナジーの追求から、より包括的なイノベーション創出の手段へと進化しています。成功するCVCには、明確な投資基準のもと、戦略的価値と財務的リターンのバランスを取りながら、本体事業との適切な距離感を保つことが求められています。今後は、より多くの日本企業が、このような複合的な価値創造を目指してCVC活動を展開していくことが予想されます。
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