本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
コーポレートベンチャーキャピタル(CVC)において、投資委員会は投資判断の中核を担う重要な機関です。最新の調査によると、約90%の企業が投資委員会を設置しており、その運営方法や構成は、CVC活動の成功に大きな影響を与えていることが明らかになっています。
調査データによると、CVCの投資委員会には大きく2つの特徴が見られます:
1. 全体の82%が投資委員会を持つ企業
2. そのうち62%が親会社メンバーを含む構成
特に成功しているCVCでは、投資委員会の構成と運営に以下のような特徴が見られます:
1. 意思決定の迅速性
- 全体の71%が3ヶ月以内に投資判断を完了
- 事業会社との協業を重視するCVCの場合、その6割が3ヶ月以内に判断を完了
2. メンバー構成の多様性
- VC経験者や外部専門家の積極的な登用
- 事業部門の責任者との適切な連携
- 投資の専門家と事業の専門家のバランスの取れた配置
3. 明確な権限委譲
- 一定額までの投資判断権限をCVC組織に委譲
- 投資機会を逃さない柔軟な判断体制の構築
特に成功しているCVCでは、以下のような運営方針が見られます:
1. 定期的な開催スケジュール
- 月次での定例開催
- 必要に応じた臨時開催の柔軟な実施
2. 明確な評価基準
- 戦略的価値と財務的リターンの両面からの評価
- 事業シナジーの具体的な検討
3. 継続的なモニタリング
- 投資後の経過報告の定期実施
- 必要に応じた支援策の検討
CVCの投資委員会は、単なる投資判断の場ではなく、企業の戦略的投資を成功に導くための重要な機関として機能しています。成功しているCVCに共通する特徴として、迅速な意思決定プロセス、多様なメンバー構成、適切な権限委譲が挙げられます。また、定期的な開催と明確な評価基準の設定、継続的なモニタリングの実施が、効果的な運営につながっています。これらの要素を考慮した投資委員会の設計と運営が、CVC活動の成功確率を高める重要な要因となっています。
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