本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
JAPAN CVC SURVEY 2023の調査結果から、日本のCVCが直面している運営面での具体的な課題が明らかになりました。特に、バリュエーションやスピード感など、実務的な課題が上位を占めています。
1. 投資実行に関する課題
調査によると、最も多く報告された課題は「バリュエーションやチケットサイズが大きすぎて投資できないことがある」(53%)でした。これは、投資機会を逃す大きな要因となっています。
2. 案件発掘の困難さ
「投資方針に当てはまるスタートアップが少なすぎる/見つからない」(47%)という課題も深刻です。これは、投資基準と市場の実態との間にギャップが存在することを示唆しています。
3. 評価能力の不足
「スタートアップの評価を行うノウハウが不十分で自力で目利きができない」(45%)という課題も無視できません。この課題は、投資判断の質に直接影響を与える可能性があります。
4. スピード感の課題
「スタートアップの求めるスピード感に社内検討の速度が合わずラウンドに乗り損ねる」(43%)という指摘もあります。これは、大企業特有の意思決定プロセスとスタートアップの機動性との不一致を表しています。
5. ネットワーキングの課題
「投資家同士や起業家とのネットワークに入り込めておらず案件の紹介が少ない」(24%)という課題も報告されています。
6. その他の課題
- 「CVC活動の認知度が低くソーシングが進まない」(15%)
- 「出資者としての提供価値・差別化が弱くスタートアップに選ばれない」(14%)
- 「二人組合やLPとして関わっているVCとの協力体制が上手く回っていない」(5%)
日本のCVCが直面する運営面での課題は、主に以下の3つの領域に集約されます:
1. 投資実行に関する実務的課題
- バリュエーションとチケットサイズの問題
- 投資判断能力の向上
2. 案件発掘・選定の課題
- 適切な投資先の発掘
- ネットワーキングの強化
3. 組織としての対応力
- 意思決定スピードの向上
- 提供価値の明確化
これらの課題を解決するためには、以下のような取り組みが重要となるでしょう:
- 投資基準の柔軟な見直し
- 評価能力の強化のための人材育成
- 意思決定プロセスの効率化
- エコシステムでのプレゼンス向上
CVCとしての持続的な成長を実現するためには、これらの運営面での課題に対する計画的かつ実践的な取り組みが不可欠です。
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