本記事以外にも全20記事で一橋大学と共同調査したJAPAN CVC SURVEY 2023の詳細解説をしています。様々なテーマを扱っていますので、下記記事一覧をご参照ください。
全20記事一覧
JAPAN CVC SURVEY 2023の調査結果から、日本のCVCが出資後に直面している課題が明らかになりました。特に、投資先の成長支援やエグジットに関連する課題が上位を占めています。
1. エグジット関連の課題
最も多く報告された課題は「大型の投資案件やM&Aの内容が想定と異なり問題となることがある」(43%)でした。この結果は、出口戦略の難しさを如実に示しています。
2. 投資規模の課題
「バリュエーションと金額規模で後続ラウンドに乗り遅れる」(40%)という指摘も多く、継続的な支援における資金面での制約が大きな課題となっています。
3. 投資先の業績に関する課題
「仮説と事業進捗・業績の実態にギャップがある」(24%)という課題も報告されています。これは投資判断時の予測と実際の事業展開との差異が大きいことを示唆しています。
4. フォローアップ投資の難しさ
「フォローオン投資の基準が明確でない」(14%)という課題も指摘されており、継続投資の意思決定プロセスに課題があることが分かります。
5. その他の実務的課題
- 「提供価値が後続ラウンドで活かしきれない」(5%)
- 「IRRが想定と合わず戦略目的も達成できない」(3%)
これらの課題は、主に以下の3つの観点から整理できます:
1. エグジット戦略の実行
- M&Aや大型投資案件での想定外の展開
- 出口戦略の実現可能性
2. 継続的支援体制
- 後続ラウンドへの参加
- フォローオン投資の判断基準
3. 価値提供と成果
- 事業進捗と予測のギャップ
- 戦略目的の達成度
日本のCVCが直面する出資後の課題は、投資先の成長支援から出口戦略まで、幅広い領域に及んでいることが明らかになりました。特に、以下の点が重要となります:
- エグジット戦略の柔軟な見直しと調整
- 後続ラウンドへの参加基準の明確化
- 投資先との密接なコミュニケーションによる進捗管理
- フォローオン投資の判断基準の整備
これらの課題に効果的に対応するためには、投資前の段階から出口戦略を見据えた計画立案と、投資後の継続的なモニタリング体制の構築が不可欠です。また、投資先との建設的な関係構築を通じて、想定と実態のギャップを早期に把握し、適切な対応を取ることが重要となります。
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