スタートアップのM&A DB：株式会社ダイセルによるパイクリスタル株式会社の買収/M&A事例

概要

株式会社ダイセルが、2020年1月にパイクリスタル株式会社を子会社化することで、新たな事業展開を目指しました。この買収は、両社が連携しながら次世代の有機半導体技術を活用し、AIやIoT分野での成長を加速させる目的を持っています。

買収企業と買われた企業の紹介

株式会社ダイセルは、長年にわたるセルロース技術を基盤としつつ、「メディカル・ヘルスケア」、「スマート」、「セイフティ」、「マテリアル」など多岐にわたる事業領域で製品を提供しています。特に、プリンテッドエレクトロニクス分野への注力により先進的な材料や製品を開発しています。

パイクリスタル株式会社は、東京大学発のベンチャー企業で、高性能な有機半導体単結晶の成膜技術を核に、有機フィルムセンサデバイスを開発・製造しています。同社の技術は、軽量でフレキシブル、かつ低コストであることが特長で、スマート社会の実現に向けた多様なIoTソリューションを提供しています。

発生の背景

ダイセルはさらなる事業多角化と次世代技術の強化を目指し、AIやIoT市場の成長に対応する必要がありました。一方、パイクリスタルはリソース確保や量産体制の構築を課題としており、ダイセルの開発力と生産技術に期待していました。このような両社のニーズが一致した結果、今回のM&Aが実現しました。

想定されるシナジー

ダイセルの材料開発力と生産技術、そしてパイクリスタルの最先端有機半導体技術が融合することで、以下のシナジーが期待されます。

• フレキシブルな有機半導体デバイスの量産化により、次世代IoTデバイス市場での競争力を強化
• AIやIoT分野における新たなソリューションの提案
• プリンテッドエレクトロニクス分野における新規製品開発の推進

まとめ

今回のM&Aは、両社の強みを組み合わせることで、有機半導体デバイスの新たな市場価値を創出する重要なステップです。これにより、AIやIoT分野における競争力を高めるだけでなく、環境にも優しい技術の普及が期待されます。また、本件は成長著しいプリンテッドエレクトロニクス市場やスマート社会実現のトレンドとも一致しており、業界全体への波及効果が見込まれます。