スタートアップのM&A DB：星光PMC株式会社による株式会社マリンナノファイバーの買収/M&A事例

概要

星光PMC株式会社は、2023年1月11日、株式会社マリンナノファイバーの発行済株式の85.4％を取得し、同社を子会社化しました。このM&Aは、星光PMCが事業ポートフォリオの多角化を図る中での戦略的な一環として実施されました。星光PMCはセルロースナノファイバーなどの新素材開発に注力しており、今回の買収により、キチンナノファイバーという新たな領域への進出が可能となります。

買収企業と買われた企業の紹介

星光PMC株式会社は、製紙用化学薬品や高機能樹脂の製造・販売を行う企業であり、近年ではナノファイバー技術の研究開発に注力しています。同社は、環境に配慮した新素材を活用し、持続可能な社会の構築を目指しています。また、製紙用薬品事業を基盤に、化成品や樹脂事業などへ事業ポートフォリオを拡大しています。

株式会社マリンナノファイバーは、鳥取大学発のベンチャー企業であり、地域特産品であるカニ殻を活用したキチンナノファイバーの研究開発・製造・販売を行っています。この素材は、高い保湿性や抗炎症効果などが特徴であり、ヘルスケアやペットケア製品を中心に事業を展開しています。

発生の背景

星光PMCは、既存事業である製紙用薬品の市場縮小に対応するため、新規事業の開拓が求められていました。一方、マリンナノファイバーは、キチンナノファイバー技術をさらに拡大し、安定的な事業基盤を構築する必要がありました。両社はナノファイバー技術に関連する共通性を有しており、両者の技術やネットワークを統合することで、産業拡大につながると判断されたため、今回のM&Aが実現しました。

想定されるシナジー

星光PMCの製造技術や工業用途の専門知識と、マリンナノファイバーのキチンナノファイバー技術を組み合わせることで、多様な市場ニーズに応えることが可能となります。例えば、環境配慮型製品への応用や、ヘルスケア・ペットケア分野における新たなソリューションの提供が期待されます。また、双方の研究開発力を活用することで、ナノファイバーを活用した革新的な製品の創出が可能となるでしょう。

まとめ

今回のM&Aは、星光PMCにとって事業ポートフォリオの拡大を図る重要な転換点であり、マリンナノファイバーにとっては技術の活用と事業基盤の拡大に繋がる重要な機会です。ナノファイバー技術を中心としたシナジーを活かし、両社がそれぞれの強みを補完できることにより、持続可能な社会の実現や新たな市場の開拓が期待されます。このようなM&Aは、環境負荷軽減や新素材開発が求められる中、業界トレンドにも合致しています。