コーポレート・ベンチャー・キャピタル(以下、CVC)は、事業会社が直接投資や自己資金で形成したファンドやを通じて、社外のスタートアップ企業に投資を行う活動を指します。英語の「Corporate Venture Capital」の頭文字を取って、CVCと略称されることが一般的です。
CVCの最大の特徴は、一般のベンチャー・キャピタル(VC)とは異なる投資目的にあります。VCが主に財務的リターンを追求するのに対し、CVCは以下のような戦略的目的を重視します:
つまり、CVCは単なる投資活動ではなく、企業の成長戦略や競争力強化の一環として位置づけられているのです。
CVCは幅広い業界で実施されています。FIRST CVCのCVC SURVEY 2022によると、IT・広告が25%、金融が17%と割合が大きいですが、以下の業界での活動が活発です。
CVCを実施している企業の規模は多岐にわたります:
この数字は、CVCが大企業だけでなく、中堅企業にとっても重要な戦略ツールとなっていることを示しています。
CVCファンドの規模は、母体企業の規模によって異なりますが、一般的に20億円から80億円程度です。
ただし、下記の運営方式にある二人組合などの場合はファンド規模が明示されていますが、BS投資の場合は投資規模は明示されておりません。こちらの図にある通り、年々CVCの投資件数が増えていることから投資意欲が高まっていることがわかります。(JAPAN CVC SURVEY 2023では616件の投資実績)
CVCの運営方式は、主に以下の3つに分類されます:
各企業は、自社の戦略や目的に合わせて最適な運営方式を選択しています。代表的な投資スキームのメリット・デメリットについては下記ページでも解説していますので、参考にしてください。
CVCの目的は多岐にわたりますが、大きく以下の5つのカテゴリーに分類することができます:
これらの目的は相互に関連しており、多くのCVCは複数の目的を同時に追求しています。企業は自社の戦略や市場環境に応じて、これらの目的の中から重点を置くべき領域を選択し、CVCを設計・運営しています。
CVCの多様な目的を実際の企業の取り組みから理解するため、以下に代表的な事例を紹介します。
三菱地所の事例:
日本郵政の事例:
ベネッセの事例:
これらの事例は、CVCが単なる金銭的投資を超えて、企業の戦略的目標達成のための重要なツールとなっていることを示しています。各企業は、自社の強みや課題に応じて、CVCを通じて新たな技術やビジネスモデルを取り入れ、既存事業の強化や新規事業の創出を図っています。
CVCは、急速に変化するビジネス環境において、企業が外部のイノベーションを取り込み、成長を加速させるための重要なツールとなっています。その戦略的意義は、単なる財務リターンを超えて、企業の長期的な競争力強化に直結しています。今後、より多くの企業がCVCを活用し、オープンイノベーションを推進していくことが予想されます。
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